第5回 目標心拍数を決める〜コンコーニ・テスト (2002年9月)  こんにちは。北海道マラソンがちょっと残念な結果に終わり、くじけている ランママです。  レース前半はこの夏に山で走りこんだ成果を実感しながらいいペースで走っ ていたのですが、途中で腰が痛くなってペースダウン。不完全燃焼分は夜のカ ラオケで発散してきました。札幌の皆さま、お世話になりました!  さて、心拍トレーニングのお話です。少し前の「ランナーズ」誌にセイ コー・パルスグラフ誕生秘話がとりあげられていましたね。私と心拍計との出 会いも20年以上前、マラソンを始める前からのおつきあいです。当時は運動 生理学ゼミに所属する大学生で、医療の分野で使われていたポータブル心電計 をスポーツ科学でも使い始めた頃でした。ポータブルといっても初期のウォー クマンぐらいの大きさ、重さのある本体をベルトで腰に装着し、胸に貼った シール型の電極と本体との間にはコードがブラブラ。そもそもランナーがト レーニングのために使うものではありませんでした。私が今使っているのはポ ラール社のプロトレーナXTというタイプですが、当時を思えば軽量、便利で安 価になったと思います。  だからこそランナーの間にも普及してきたのだと思いますが、「せっかく買 ったけどあまり使ってない・・・」という声も耳にします。初めは物珍しさも あってランニング中の心拍が表示されるだけで面白いけれど、それだけでは飽 きてしまうし、本に書いてあるように目標心拍数を設定しても何だか自分に合 わないし・・・どうもそういうことのようですね。  私は「本に書いてあるように」目標設定することが間違いの第一歩じゃない かと考えています。たとえば「220−年齢」を最高心拍数としてその50〜75% を目標値とするとか、「180−年齢」を目標値の基本として状況に応じて加減 するとか・・・。これでは同じ年齢の人は基本的に同じ目標値になります。私 は20年以上いろんな方の心拍数を見てきましたが、同じような年齢、健康状 態、さらにランナーとしての走力が同等であっても、心拍反応は非常に個人差 が大きいものです。たとえば私の周囲の40歳代ランナーの最高心拍数は170 から210拍/分までさまざまで、マラソン記録がよいほど高いとか低いとかい うものでもありません。同じ計算式で目標値を決めるのはいかにも不自然です。 やはり何らかの「個別テスト、個別処方」が必要だと思います。  テストのひとつとして、まずイタリアのコンコーニ博士が考案した「コン コーニ・テスト」を紹介しましょう。その意味するところや問題点については 次回お話しますが、間単にいうと「心拍を測りながら、ゆっくりジョグから最 高速度まで徐々にスピードを上げて行き、後でグラフを描いて速度と心拍の直 線関係が崩れる変曲点を見つける」もので、この変曲点のことを「HRT、心拍 性作業閾値」と呼びます。コンコーニはこれが「無酸素性作業閾値、AT」であ ると述べていますが、実際にはもう少しきつい強度に思われ、私はこれを心拍 トレーニングの上限目標として使っています。  ラップとラップ毎の心拍数が測れる心拍計をお持ちで、陸上競技のトラック があればぜひチャレンジしてみて下さい。キロ9分程度から始めてもかまいま せんから100m毎にラップタイムをとり徐々に加速します。具体的には100mの スプリットを54秒、51秒、48秒、45秒、42秒、40秒、38秒、36秒、34秒、32秒、 30秒、28秒、26秒、25秒、24秒、23秒、22秒、21秒、20秒、19秒・・・・という 具合。初めのうちは100m毎に3秒、スピードが上がってくると最後は1秒ずつ速 くする感じです。上の例ではおよそ2000m、11分ほどでテスト終了ですね。市 民ランナーの場合、テスト終了時の最高スプリットは16秒から25秒くらいでし ょうか。  そして横軸にスピード(100m毎のスプリットから換算)、縦軸にそのス ピードに対応する心拍数というグラフを作り、HRTを読み取ります。ポラール の解析ソフトにはコンコーニ・テスト自動判定のメニューがありますが、とり あえず目で見た感じの判断でもよいでしょう。ほとんどの方はテストの8割ぐ らいのところまではスピードに対して心拍数も直線的に増加し、あるところま で来ると心拍数の増加がその直線から外れてやや右へカーブを描くようになり ます。そこがHRTです。  HRTが見つかったら、そのスピードで5〜10分ぐらい走ってみて平均心拍数を 調べてください。これを心拍トレーニングの目標上限値とします。私の場合は これがキロ4分弱、160拍/分、普段はこれ以下で走りますが、必要があればこ れを超えて追い込みます。詳しい活用方法は次回に回しますが、スピード走も 快適な季節、一度トラックでコンコーニ・テストにチャレンジしてみて下さ い! (参考:Conconi,F. et al.(1982) Determination of the anaerobic thresho ld by a noninvasive field test in runners. Journal of Applied Physiolo gy, 52:869-873. Conconi,F. et al.(1996) The Conconi Test : Methodology after 12 years of application. International Journal of Sports & Medicine. 17:509-519. )