第9回 メリハリが大事〜トレーニングレベルの配分 (2003年3月)  こんにちは。某誌5月号で素顔を明かされ、恥ずかしいので変装中のランマ マです。あなたが全日空ゲートタワービルで見たのは実はサトウの影武者だっ たかも?  冗談はさておき、第15回ランニング学会大会・市民公開プログラムは参加 者およそ400名(うち200名が市民ランナー)、例年以上の熱気に包まれたムー ドの中で開催されました。まずはご参加頂いた皆様に実行委員会の一人として この場を借りて厚く御礼申し上げます。少々手前味噌ではありますが、ランニ ング障害の症例や予防法、ランニングと脂肪燃焼など医学・生理学的な講演も あれば、ランニングと街づくりといった社会学的なテーマもあり盛りだくさん なプログラム。しかも講師のほとんどが自ら走るランナーであり説得力があり ました。また骨密度や体脂肪、心拍数などの測定デモ、サプリメントやドリン ク試飲、ランニングウェア販売など様々なブースが並び、講演の合間などに大 賑わい。昼休みにはあいにくの雨模様にもかかわらず大勢のランナーがファン ランに繰り出し、ロビーにいたウェディングドレスの花嫁さんを驚かせてしま いました。  さてその日最後のシンポジウム「市民マラソンのトレーニング、量かスピー ドか、年齢は?」。終日の参加で皆さんもうお疲れでは?なんて心配をよそに 会場の熱気は益々高まるばかり、さすがのサトウも司会の第一声は緊張に震え てしまったことを白状します。今回お話を伺ったランナーは100`ワールドチ ャレンジ準優勝のウルトラランナー関谷彰子さん、そしてマラソン2時間43分、 ハーフ1時間16分台のスピードランナー石戸香さんです。詳しい内容はいず れ学会誌において報告されますが、はっきりと高い目標を持ったお二人がそれ ぞれの年月をかけて辿り着いた現在のトレーニングは、どちらも長い距離の走 り込みを下地に、それぞれレースの5割程度の距離でのハイペース走が組み入 れられ、実はスタミナとスピードが適切に配分された理想のトレーニングだと 感じました。  心拍トレーニングにおいても「リラックスペース」「イージーペース」「ミ ドルペース」「レースペース」という異なる強度のトレーニングをどう配分す るかが鍵となります。例えば年間一番の目標が冬のフルマラソンだとして考え てみましょう。ちょうど今ごろはオーバーホールの時期、1週間あるいは1ヶ 月単位のトレーニングの中でリラックスペースに割く時間が60%、イージー ペース30%、ミドルペース10%、レースペースはほとんどゼロでよいと考えて います。  イージーペース以下で90%?と思われるかもしれませんが、これは時間比 であって距離比ではありません、念のため。トレーニング計画は距離で考える 方が多いでしょうが、お使いの心拍計に「目標範囲内で何分間運動したか」を 集計する機能があれば、インターバルやビルドアップなどメニューはどうあれ トレーニングレベルをトータルに把握、管理することができます。もちろん 「目標範囲内で何m走ったか」を集計できる方がわかりやすいですが、残念な がらそういう機能を持った心拍計はまだなさそうですね。  春から夏はまだまだリラックス50%、イージー30%、ミドル15%、レース 5%。このレースペース5%をトラックや5`10`の短いレースにあてる方 法もあれば、実際にスピードは出さなくてもトレイルランの上り坂などの負荷 を使う方法もあります。  こうして脚作りの時期を終えて秋を迎えたらビルドアップ走やコントロール ランなどのメニューを取り入れ、リラックス40%、イージー30%、ミドル20%、 レース10%、だんだん高いトレーニング区分に割く時間を増やすわけです。目 標レースの2ヶ月前、1ヶ月前などにはレースペースを15%くらいにすること も可能でしょう。しかしこの時、リラックスペースやイージーペースの時間を むしろ大事に確保して下さい。1週間、1ヶ月のスパンで見て追い込みと休養 のメリハリのあるトレーニング、ハイレベルなトレーニングの後には積極的休 養が必要です。ここにあげた数値はごく一般的で大雑把な例ですから、ご自分 の目標や事情に合わせてひとひねりしてみて下さいね。  ランニング学会に話を戻すと、今回とても残念なことにアメリカからお招き していたジェフェリィ・ホロビッツ先生が直前になって来日できなくなりまし た。陸連も世界クロカンをはじめ選手の海外派遣を見合わせています。思わぬ ところで戦争の余波を実感しています。一刻も早く世界が平和な朝を迎えられ ますように。